「おい…谷本」
先生が少女の近くに立っていた。
少女はやっと気付いた。
「あ…先生すみません。授業きいて―」
「そうじゃないだろ」
「え…?」
少女は意味がわからなかった。
そしてある視線に気付いた。
散々少女が馬鹿にしていた、女、浜沖が鬼のような形相で見ていた。
そして何人かがこそこそと言い合っていた
「うわー…谷本怖いな」
「最低な女ね。もはやいじめじゃん」
「浜沖さんかわいそう」
この会話が、谷本にも聞こえた。そして気づく。
少女は今までのことを口に出して言っていたということを。
少女の頭の中は真っ白になった。


