「羚音…大丈夫。怖かったわね、大丈夫よ。犯人を許したりしないわ。絶対に。」


 椎は、言って娘の髪を撫でる。


「母さん、せんせいの話し聞いて来たよ。」


「ありがとう。なんて?」


「うん。起きたら帰っていいってさ。」


「そう…」


 椎は、羚音を見つめる。


「……ん、お母さん?」


「棗、直ぐに帰るわ。」


「解った。」


 棗は、返事をして羚音を抱き上げた。


「棗……?」


「説明は、後な。」


 羚音は、病院を連れ出され車に乗せられた。



 犯人探しなんて意味ない。