椎に抱きしめられて羚音は、変わろうと決めた。 「(イイ子になる。イイ子になるわ。)」 羚音は、自分と優しい母親に誓った。 ―春― 「お父さん、お母さん!行ってきます。」 「「行ってらっしゃい、羚音。」」 「頼むわよ、棗。」 両親は、ひとつ年上の棗に言った。 「解ってるよ。父さんたちも遅れないで!」 「解ったよ。」 父の答えを聞いて棗は、羚音の後を歩いていく。 羚音は、棗と同じ私立和泉沢学園高等科に進学したのだ。 今日は、入学式。 カゾクが…出来ました。 愛しい家族が。