働きはじめた頃は真っ白な状態で、社会の中の善悪や矛盾点等には全くといいほど無知であった。
がむしゃらとでもいうか、初期の頃は吸収する能力のみで働いている。
上司や先輩が神であり、善悪の分別もつかない白い状態である心が、神の一部となるよう教えられる。一番始めて目に写るものを親と思うヒナのように社会で最初に出会う神が、今後のヒナの人格を形成していくといっても過言ではない。
神の方は意識してか、真っ白な状態を操り、思うままに操作する。
ヒナは操作されている矛盾に気がつかないで反射的に擦り込まれる。
ヒナの頃に上司から求められるのは仕事を覚える能力ではなく[素直]さだと教えられる。
あたかも美しい言葉だが、要するに私が黒と言えば黒と思えという一種の脅迫である。
ヒナは脅迫だと受け取らない。それが当たり前だと思っているのでこの大きな矛盾点に気がつかない。学校の教科書や先生達からも教えられていない。無意味な時間だったのだ。無意味な時間を強制され[将来]と言われてきたヒナは、社会に出てもヒナの状態なのである。