「さてと、こんなもんでしょ。」 女は鏡に映る自分を見て言った。 「じゃ、さようなら」 女はベランダに出る。 そして、女は手すりの上へ乗っては立つ。 彼女の立場を知る者ならばすぐに「はしたない」等と言って下ろそうとするだろうが、今居るのは彼女だけだった。 「さようなら─私の国」 それ以来、彼女をこの国で見た者はいない。