「よろしくね、アタシ中畑杏里。」
「おぅ。」


原口豪は、またさっきの雰囲気に
戻ってしまった。


「アタシ、頭痛薬持ってるよ。
歯が痛いのも和らぐかもよ。
薬あげよっか?」
「・・・マジ?飲みたいかも。」
「ってか、今日早退して歯医者行けば?」
「・・・春の大会が近いんだよ、
部活休んでられねぇーし・・・」


そっか、野球部だもんね。
意外と熱心だなぁ。


「俺居ないと、練習になんないでしょ。
俺、内野の要だしさ。」


へぇ~・・・
そうなんだ。


するとアタシ達の会話を聞いていた
佑介が振り向いて、
「自分で内野の要とか言うんぢゃねぇ。
・・・でも、マジ豪は上手いよ。
足も速ぇしな。」
「オメーよりは速いって、誰でも。」
「な、何だって、おい!!」


そんな他愛もない会話を聞いて
周りの子達が笑った。
もちろん、アタシも。


「ま、そんなに仲良ければ
野球部楽しいね。」
「まーな!!うちらは親友だから!
な、豪★★」
「・・・親友ぢゃねーから。」
「まーーーた!照れるなって!」
「・・・うるせぇ奴。
俺、コイツみたいにヘラヘラしてる
キャラで売ろうとしてないからな。」


子供っぽい会話のやりとり。
それを見てたアタシは、
何となく原口豪を気になりだした。


「恋」とかそんなんぢゃなくて・・・
興味が湧いた。


(どんな人なんだろ、もっと知りたい)
って。


「おい、武田!原口!うるさいぞ!!」


担任の先生に一喝された。


「はーーーい、すんません!」
「ったく、俺まで叱られただろ。」

原口豪が、苦笑いしてた。