「えと、あの、でも…買い物じゃないんです」

店主の頭の上に、棚から垂れた布が見える。

それに目をやりながら、クイナは言った。

「分かってます」

店主は言うと、一枝の花を取りだした。

白い花が1つ、付いている。

「これを、渡してくれって、頼まれているんです」

クイナはハッとした。

「あなた、ザクロの子でしょう?一目見て、分かる。あなたが来る前に、その方が来たんですよ。

ザクロの子が来たら、これを渡してくれって」


「あたしに!?ヨウカがっ!!?」

「名前は知りませんが、あなたにまちがいないと思いますよ」

クイナは黙って、店主を見つめた。