「美雨!」




声をかけても、
立ち止まらない美雨の腕をつかむ。




「美雨…」





『可愛い人ね。』



「……」


『ゴメン…

嫌な態度とって…もう帰るね。』



「イヤだ」


『えっ?ちょっと…』



俺は、美雨の手を取り強引に歩きだした。




『ねぇ、離して?』



「俺は…

このまま美雨が帰るのはイヤだ。」



『……』


「なんか誤解してるんだったら、ちゃんと話したい」




『…別に』


「じゃあ、なんでそんな顔してんの?」




『…生まれつき』


「うわっ…そうきたか!」


『……』


「あのー、美雨さん?

もしかしてやきもち?」


『っ!…違うもん!』



「ふーん?」








『…誰?』

うつむきながら、
美雨が小さな声で聞いてきた。


「カワイイー!」

『もう!』

「アハハハ!

ゴメン…。ちゃんと話す。」



歩きながら話した。


昔、付き合っていた人だという事。


今は、全く関係ない人だという事。



美雨にちゃんと伝わるように…



今、つないでいる


この手を信じてもらえるように…





さっきよりも、もっと小さな声で美雨がゴメンと呟いた。