bitter sweet

「はくしゃい? ちょ……和紗、上着着てないやん!?」

「ああ、なんか着んの忘れてて……寒……ッ!」

 そうや俺……雪和にプレゼント買うって事しか考えてなくて……。寒いと認識すると同時に、白黒にしか見えてなかった俺の目、いつの間にか雪和以外の風景にも色が戻っていた。

「ちょっと待ってて」

 そう言うと雪和は、俺の背中から腕を離し、青色のリボンがついた袋を俺に渡す。

「え? コレ……」

「和紗にプレゼント、ちょっと早いけど。あ……でもずっと持ってたから、ラッピングくしゃくしゃ……」

 一生懸命、袋のシワを伸ばす雪和の手からそれを受け取る。

「開けてもエエ?」

「うん、ってゆか今使って」

 リボンを外し、がさがさと袋を開けると鮮やかなブルーが目に映った。

「……マフラー」

「和紗、青色好きやん? 店いっぱい見てまわってんけど、それが一番和紗っぽかったから」

 ……被ってもうたな。雪和抱き締めてる間も、手に持ってたプレゼント。

「雪和……俺もコレさっき買うてん」

 店の人に可愛く包んでもらったプレゼントを雪和に差し出す。