bitter sweet

「か……ず……さ?」

 雪和を好きやって自覚した時は、世界中に聞こえるような声で叫びたいって思っとった。でも、違うんやな。大事な言葉は……一番伝えたい相手にだけ、伝わればエエんや。

 自分の頭を雪和の肩にコテッと置く。そして雪和に、雪和だけに聞こえるくらいの声で囁く。








「俺……雪和が好きや。世界でいっちゃん、雪和が大好きや」

 今まで生きてきた中で、こんだけ緊張した事ないんちゃうやろか。沈黙が長ければ長いほど……めっちゃ緊張する。

「……ッ……ふッ」

「雪和?」

 腕の力を緩めようとすると、逆に雪和がしがみついてくる。

「……和……紗、ずるいぃ……」

「……ずるい?」

「先に、私が……好きって、大好きやって先に言いたかったのにぃ……ッ」

 泣きながら俺を恨めしそうに睨む雪和。

「俺かって雪和より先に言いたかってんもん」

「う~……めっちゃ悔しい……ッ」

 雪和が悔しさをぶつけるように、しがみつく腕に力を込める。

「ぜ~んぜん痛ないし~……は……は……っくしゃいッ!!」