bitter sweet

 ようやく雪和が止まったんはどっかの公園。

「なにがあってん」

「え?」

「雪和らしくないやろ?」

 また何か考え過ぎて悩んでんのかもしれん。それにしてもなんであんな事……。

「って、おいッ!? お前、足ケガしてるやんけッ」

 落ちた時にでも擦りむいたんか、ふくらはぎが赤くなっているのを見つけ、雪和に一歩近付いた時やった。







「ゆ……ゆきな?」

 ふわっ、と雪和の髪が揺れたかと思うと、雪和が俺に抱きついてきた。背中に回された手が微かに震えてる。

「……会いたかった……ッ」

「え……?」

「私……和紗にめちゃめちゃ会いたかったッ!」

 ――え、えっ!?まさかそれって……雪和が俺を……ッ!?

「私……私ね、和紗の事……」

 待っ……待ったッ!!その“言葉”は……俺が先に言いたいんやッ!!

 と、瞬間的に雪和の口を手で抑えてしまった。

 雪和が不思議そうに上目遣いで俺を見る。

 その仕草があまりに可愛くて――……







 ぎゅ……と雪和を抱き締め返していた――。