bitter sweet

 雪和のプレゼント買えたし……帰ろ。でも、どこに?

 マコトさんは“この生活を続ける訳にいかへん”って言った。親父は“どうしたいか、自分で決めろ”って。

「……決めろって言われたかて、決めれる訳ないやんけ」

 どっち選んだって、どっちかとはもう二度と会われへんなるんちゃうんか?

 そんなんイヤや……そんなん、俺が決めれる訳ないやんか――。

 行く宛てもなく、適当に歩みを進める。







「あれ……? ここ」

 『瀬戸』と書かれた表札。俺いつの間に、雪和ン家に来たんや?無意識に、雪和に会いたなったゆうんか。

 ぱさっ

 ぱさ?何の音や?雪和ン家の裏から……あれ、なんや?

 窓からひょこっと雪和が顔を出した。と思ったら窓に乗っかりだす。アイツ、何してるんや?

 雪和の足が窓の桟から離れた時、俺は雪和に「何してんねん、お前」と声を掛けていた。

 なんで2階からなんて……。なんかあったんか?

 俺に気付くと、雪和はいきなり泣き出した。

 どう……すればいい?とりあえず2階に戻れ、と言ったものの、女の、しかも中学生の腕力で上がるのは無理や……ッ!!