bitter sweet

「――……な、雪和ッ! どこまで行くねんッ!?」

「え……?」

 ただ、追いかけてこられないように闇雲に走った。辿り着いたのはどこかの公園。

「何があってん」

「え?」

「お前らしくないやろ? 2階から、まるで脱走するみたいに」

 私らしくない。確かにそうかもしれない。

「和紗は……なんであの場所におったん?」

「俺は……なんか適当に歩いてたら、いつの間にか、な」

 適当……でも、無意識に私に会いに来てくれた?和紗も……私に会いたいって思ってくれてた――?

「って、おいッ! お前、足ケガしてるやんけッ。落っこちた時……」







 どうしようもない程、和紗への思いが溢れて、私は和紗に抱き付いていた。

「ゆ、ゆきなッ!?」

「……会いたかった……ッ」

「え……?」

「私、和紗にめちゃめちゃ会いたかった……ッ」

「…………」

 和紗、びっくりしてる。でも、本当に嬉しくて、どんな言葉を使ったら和紗に一番伝わるだろう……?

「私……私ね、和紗の事――」

 好き、と言おうとしたのに……私の初めての告白は、和紗の手により未遂となった――。