bitter sweet

 目覚まし時計の針はもうすぐ19時を示している。

 また誰かに見られたら変に言われるかもしれない。部屋と机の電気を消し、音を立てない様に窓を開ける。

 私の部屋の真下は両親の寝室。足を掛けられる様な小さな屋根もない。

 ――誰もいませんように……。

 カーテンを降ろし、片手でプレゼントの袋を持って、机の上に乗る。

 たった2階の高さ……なのに、辺りが暗いせいで底なしの闇に続いているような錯覚に襲われる。

 大丈夫……大丈夫、雪和。和紗に会いたいんでしょ?

 恐怖感からくる震えを抑え、深呼吸をする。

「よし……大丈夫」

 窓の桟に足を掛け、カーテンを引っ張る。

 落ちない……落ちない。

 窓の桟から足を離したその時だった。







「何してんねん、お前」

 ――……え?

「危ないやろッ」

 なんで……どうして、和紗がここにいるの――?

「か……ずさ、かずさぁ~……」

 和紗の姿を見つけた瞬間、張り詰めていた糸が切れたように涙がぼろぼろ零れる。