bitter sweet

 どくん……ッ

「…………」

 心臓が飛び出そうや……俺はおそるおそる携帯を耳に近付ける。

『……和紗か?』

 懐かしい親父の声。俺は、うん、としか返事出来んかった。

『聞いてしもたんやな……真がお前の本当の父親やと』

「……ん」

 ……もっとなんか言わな。思えば思う程、言葉が出て来ーひん。

『お前は……どうしたい?』

「……え?」

『そのまま生活していくか、それとも……。和紗の思う様にしなさい』

「親父……」

『……ゆっくり考えて決めなさい』

 プツッ……ツーツー……

「親父……親父? 決めろって……俺が?」

 返事のない携帯に問い掛ける。ここに残るか、関西に帰るか……俺が決めろゆうんか?

「和紗くん……」

 無言で携帯をマコトさんに返し、自分の部屋へと戻る。

 俺……さっきまで何してたんやったっけ?

 山の様な課題出されて、全然わからんくて休憩して……。

「……雪和」

 そうや……雪和にプレゼント買おうって金取りに来て……。

 お袋から渡された茶封筒。中には8,000円と小銭が少し。

「買いに行こ……。雪和が喜びそうなモン……」

 ……俺は上着も着んと、マコトさんに黙って外に出た。