bitter sweet

 何か柔らかいモンがクッションとなって、俺は膝を打っただけですんだ。

「……ったあ~、雪和、大丈夫か?」

 ……反応が無い。まさか雪和、気ぃ失ってんとちゃうか?そう思って顔をあげた時――真っ赤になってる雪和の顔が、めっちゃ俺の顔近くにあった。

 ~~……ッ!?
 こんときの俺、雪和に半分覆い被っとった。……まさか、クッションなってたモノって……雪和、意外と胸あるんや……。

 どきん……どきん……俺のんか雪和のんかわからへん鼓動。

 な、何してんねん、俺ッ!?ってか、はよどかな……ッ!!

 焦る気持ちとは逆に冷静な俺もおって、雪和の髪の毛からシャンプーのエエ匂いが……って、アカンアカン!!

「わ、悪い! 雪和ッ」

 慌てて雪和から体を退(ど)けて、雪和の手を引いて体を起こさせる。

「…………」

 何にも言わへん。怒ってるん、かな。そら怒るわな……当然やんな。

「ゆき……」
「わ、私ッ! 和紗の部屋見たいッ」

 謝ろうとした俺に、まるで何事もなかった様に立ち上がる雪和。