「…なぁに、ゆか」
『久しぶりね、ゆか』
「あたしは今、アイス食べてるから」
『あらそう。……親御さん、必死になってたわ』
「あっそう。あ、アイスが溶けちゃう」
『アイスくらいいいじゃない。私の話を聞いて』
「食べ物を粗末にするゆかは嫌い」
『私の話をないがしろにするゆかなんて嫌いよ』

 電話の相手はゆかだった。中学からの知り合い以上友達未満。嘘。何よりも誰よりも大切な、友達とか親友とは、違う気がする。とにかく、大切子だ。電話を無視する程度に。

 残ったアイスを一口で食べる。とっても冷たかった。きぃぃん、てする。

『聞いてるの』
「あいひゅがつめふぁい」
『あらそう。警察に届け出をしたようだけれど』
「ひゅめひゃい…」
『警察はそんなに本腰入れてるわけじゃないみたいだわ』
「んぐ…そう。やっぱゆか好きだー」
『ありがと、私は微妙だわ』