「でも、何千年も前のお話。今更何か言ったって変わる訳じゃないし、絵美ちゃんもいるし、そのうち開放されるでしょう…」

お茶でも煎れてくるわ、と呟いて席を立った。

『あたしは何をすればいいの?他の天使を開放する方法なんて知らない…』

ふて腐れたように椅子に浅く座ったまま、背もたれに体重をかける。

「まだ産まれて来ていないからわからないだけだよ。そればっかりは俺は解らないんだ」

席を立ち、絵美の後ろへ回る。

「ミア…生きてるなら教えてくれ。俺達の子供はいつ産まれるんだ…?」

絵美の頭をポフポフと何度か叩く。ふと見ると、絵美の羽根の先端が静電気で動くように、ケイの羽根に向かって伸びている。

「お前、何羽根で遊んでるんだ?」

お茶を持ってきた薫も、まじまじと羽根の先端を見ている。

『羽根?あたし何もしてないよ?』

自分の羽根をさわさわと触る。

「俺か?俺の力が必要なのか?」

疑問に満ちた口調で絵美の羽根に触れ、自分の力を注いだ。
瞬間的にまばゆい光を発して元に戻った。