「それに、その時間なら人目を気にしなくていい。思う存分ミアを抱きしめられる。愛してあげられる」

嫌か?と聞くケイに首を横に振るミアだが相変わらず不安げな顔だ。

「本当は違って、ケイが呪われたらどうしよう?きっと呪いを解く方法なんて無いわ」

「大丈夫だよ。それより天使になれるんだ。呪われることなんて怖くないさ」

そう言って笑顔を見せるケイに覚悟を決めるミア。

「わかったわ。じゃあ、何度も私を抱きしめてくれる?沢山キスしてくれる?」

「当たり前じゃないか。今までだって何度そうしたいと思った事か」

笑顔を見せる二人は、抱きしめたい、抱き合いたいと感情が先走るのがわかっていた。
だが今抱き合うとなにもかもが壊れてしまう。もう少しの辛抱だと双方が言い聞かせていた。


‡‡‡‡‡‡


「愛してるよ、ミア」
「私もよ、ケイ」

何度も何度もキスをして、何度も抱き合いお互いの存在を確かめ合う。

髪に触れ、頬に触れ、首筋にキスをする。どれほどの時間こうしていただろうか。
今まで触れることの出来なかった時間を凝縮するかのように触れ合い、暖かい眼差しで見つめ合う。

そして結ばれた。一体どれほど昔からこの時を夢見ていただろう。

どれほどの間堪え続けて来ただろう。

幸せに浸る中、ケイの羽根が眩しいほどに光り輝いた。

しかし…。


彼の羽根は天使のそれとは明らかに違っていた。