天使と悪魔が出会ったいきさつ。愛の芽生えた二人の話。天使が悪魔に殺される話。今まで見た三種類の夢を事細かに説明した。
「この夢の内容を伝えたかったのか?」
隆彦の言葉を遮るかのように薫が興奮気味に口を挟んだ。
「これってもしかして、過去の記憶?でも、何千年も昔の話だもの、単なる夢なのかしら?絵美ちゃんはどう思うの?」
すらすらとペンを運ばせる。
『多分過去の出来事だと思う。懐かしい感じがする。
ミアが死んでしまったのがこの地球なら、沈黙の天使の私は、ミアのお腹にいた赤ちゃんと関係があるんじゃないかと思ってる。
だとしたら、沈黙の天使の存在理由と存在意義が判るんじゃないかと思う』
夢が過去の出来事であるならば、恐らく絵美の言う通り引き続き夢を見続ければ何か答えが見えるかもしれない。
しかし、それがよい結果になるのか、悪い結果になるのか、見当も付かない。
それぞれが思い思いに思考を巡らせていた。
「絵美ちゃんの羽根が光っていたのも、何か関係があるのかしら?」
不意に思い出した薫が呟いた。あごに手を当て、あれは絶対光ってたと続ける。
「絵美の羽根が?」
照明のきつい店内で目をこらしても、羽根が光っているようには見えない。絵美ですら自分の羽根が光っていたことなど気付いていなかったほど微かなものだろう。
二人がまじまじと羽根を見ていた時、店員が声をかけて来た。



