「隆彦!お前もお前だ!糞天使の家に来るなんて気が狂ったか!?」
止まらない罵声に飛び交う叫び声。薫は何も出来ずに玄関でうろたえていた。
ホワイトボードを抱えたままベッドに潜り込んだ絵美は、表情を変えることも無く、涙を流すことも無く、ただ心が死なないように堪え続けていた。
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夜。
夕食を運びに来た薫がゆっくりと話始めた。
「隆彦くんとは、何度か会わせてもらってたの。その時に絵美ちゃんの近況を伝えていたのだけど、筆談が出来るほど元気が戻ってないんじゃないかって言っちゃった。
彼はあなたのことを良くわかってるのね。失礼なこと言っちゃったかと思って…ごめんね、絵美ちゃん」
その目に映らないと判っていても深々と頭を下げた。
絵美は無言のままベッドの上で体育座りをしている。
「また時間を見て会ってきてもいいかしら?」
遠慮がちに絵美の顔を覗くと小さく何度も頷く姿が見えた。そしてホワイトボードを出すと「しんじてる」と、「まってる」と、薫に書いて見せた。
その日の夜は、薫が持ってきた少量のご飯の半分程を口にして床についた。