星の瞬く時間に


「…どうだった?」


演奏が終わり、こちらを向いた
鼓の顔は少し緊張していた。


「すごく綺麗だった。
鼓くんは音楽が好きなんだね」


彼は私の言葉を聞いて、緊張で少し
固くなっていた体の力を抜き、
屈託のない笑顔を見せた。


「そっか」


ジョーを愛しそうに眺めるその目に
悲しさ、もしくは寂しさが
含まれているいるようで
私は少し、違和感を覚えた。


「あっ、そーいや今何時?」


「え?あ、えーっと、10時半ちょい過ぎ」


「まじか。じゃあもう帰らな。」


先程の寂しそうな雰囲気を
かき消すように鼓はいそいそと
帰り支度を始めた。