「ね、せっかくやから何でもいーけん
何か1曲弾いてみせてよ」
「いいばい。じゃあ~…
星野さんも聞いたことあるよーな
有名な曲ね!」
そう言って鼓がジョーを構えた瞬間
空気が変わった。
一度深く息を吸い込み、
ジョーへと吹き込む。
それはまるで、楽器に命を
吹き込むようで。
2人で演奏してるんだって思った。
ジョーを道具としてではなく、
パートナーとして音楽を奏でる
鼓の横顔は真剣で、でも楽しそうで、
とても輝いて見える。
出会って間もない私にも
鼓は本当に音楽が好きなんだって
いうのが伝わってくる。
夜空の下で聞く、
鼓とジョーが奏でる音色は、
今まで聞いてきたどんな音よりも
綺麗で優しかった。
