鼓が取り出した楽器には
見覚えがあった。
「これ、フルート…?」
「ピンポーン!俺のパートナー、
ジョー!!」
「え、ジョーってフルートに
名前つけとっと?」
何か可愛い。
思わず顔がにやける。
「笑うなよ!パートナーっちゃけん
当たり前やろ!」
そう言って誇らしげにジョーを
私の目の前につきつける。
月の光を受けて輝く様は、
妖艶でとても美しい。
「綺麗…」
フルートを生でこんなに近くで
見るのは初めてだが、思わず
溜め息が出る程美しいジョーは
大切にされていることが分かる。
「やろ?ジョー良かったなあ。
綺麗げな!」
鼓は目を細めて、嬉しそうに
ジョーに話し掛ける。
うん、何かもうジョーが
生き物に見えてきた。
