「って俺、何言ってんだろな!
意味分からんやろ。普通急に
こんな語り出したら引くよな」
私の沈黙を引いていると
勘違いしたのか、彼は忘れて!と
恥ずかしそうに笑って俯いた。
その様子を見て、
私は少し上を向き、
空を見上げながら答えた。
「引かないよ。何となく分かる」
今夜は雲一つない空に
月が煌々と輝いている。
私たちを照らす光は
月明かりしかないけれど、
彼の表情を伺うには十分な
明るさだった。
空に向けていた顔を
彼に向けると、彼が少し
嬉しそうな顔をしているのが
分かり、つられて私も微笑む。
「…あんた、名前は?」
「星野柚梨。そっちは?」
「望月鼓(もちづきつづみ)。
よし、星野さん。音の正体、
知りたいっちゃろ?
じゃあこれは何でしょう!」
