「そんな謝らんでいいから!
大体あたしが落としたのが
いかんっちゃん。むしろ拾って
わざわざ洗ってくれて感謝してる。
ありがとうね!」


私が感謝の気持ちを込めて笑いかけると
爽やか君も嬉しそうに笑う。

穏やかな空気になったところで
私は気になっていた事を
思い切って尋ねてみた。


「ね、そういえばさ、もしかして昨日
ここで何か弾いてた?」


私がそう言うと、彼は思い出したように
先程立っていた場所まで戻り、
こちらに向かって手招きをする。

こっちに来いってことかな?

自転車のスタンドを降ろし、その場に止め、
彼のいる場所へ歩み寄る。

彼の元へたどり着いた瞬間
私は思わず感嘆の声を上げた。


綺麗な夜景が視界いっぱいに広がっている。
ビルの明かりや、看板の派手な光、
流れるように動く車のライト。
大小色も形も違う光が一つになって街全体を
包み込んで、美しい景色を作り上げている。