「これ、あんたのだろ?」
そう言って爽やか君はポケットから
少し汚れたくまのマスコットを取りだし、
私の方へと差し出す。
「ああ!あたしのだ!でも何で…?」
爽やか君からマスコットを受け取る。
「昨日の夜、公園の入り口んとこに
立っとったやろ?
すっげー怯えた顔してたから
声掛けようとしたら
急に逃げるように去ってくし。
てか、自転車漕ぐの速すぎ!」
昨日のことを思い出したのか
ふふっと笑う爽やか君。
それに対して
顔が赤くなっているであろう私。
あの人影は爽やか君だったんだ。
向こうからは顔丸見えだったなんて
恥ずかし過ぎる…。
「んーで、下見たら
これが落ちてたってわけ。
泥だらけだったから一応洗ったんだけど、
完璧には汚れ落ちんかった。ごめんな」
申し訳なさそうに言う彼を見て、
私はまたもや確信した。
この人は良い人だ。
