吸い込まれるようにふらふらと
進んで行くと、音楽がぴたりと止まり、
その人が不意にこちらに向き直った。

はっと我に返り、足を止める。


「あんた、昨日の人?」


暗くてよく見えないが、声からして
どうやら相手は男性のようだ。


私が返答に困り、黙っていると、
彼がこちらへ向かって来た。

距離が縮まるにつれ、
外灯のほのかな明かりが
彼の姿を映し出す。