REAL HOPE Ⅰ




「総一郎、出せ。」



いきなり入って来るなりバタンとドアを閉めたレツは一定音の声でそう言った。




「はい。」



やはり総長様は偉いらしい


一つ年上の総ちゃんが敬語を使うぐらい強く尊敬されているみたいだ



「レツ、ハルマは?」


さっきからハルマの様子を見ていない私はレツの服袖をかるく引っ張っる。



レツはこっちを見る事もなく柔らかい皮のシートに深く座り直すと、形のいい唇を動かした



「そこらへんにいる。」



左をみても右を見ても前を見ても後ろを見ても


人 人 人


同じ服の人しかいない。


こんななかからハルマを探せるわけがない。



レツはどこまでも面倒くさがりやらしい


これからドコへ行くかもハルマの居場所も話すのが面倒くさくてしかたないみたいだ。



私はレツの服を離して、いつの間にか走り出していた車の窓外の景色に視線をかえた