レツは何も言わなかった。
私の手を引くとあの紫かかった黒い車に私を連れていった。
車内はあまりに静かで、今日はあの洋楽さえ流れていない
だからあれはきっとハルマの趣味だと分かった。
「倉庫だ。」
あの日と同じ怖い面の兄ちゃんにそれだけ言うとレツは私の手を離した。
「……」
私の涙が引っ込んだころには倉庫に着いて先に車を下りたレツの後から私も車を下りる
今日は何だか人が多い。
みんなお揃いの白い服を着ていて、不自然なほどにバイクや車がキレイに並べられている
そういえば…
前を歩くレツの背中
そこには紫の服に“五代目風神”とかかれている。
この間はあんな服着ていなかった。きっとあれが特効服というやつなのだろう
今日は何かの日なのだろうか、
またも皆の視線をあびながらあの部屋へ入った。



