階段を下りて、慌てて玄関を飛び出した私は靴なんて履くのさえ忘れて びちゃびちゃと大きな水溜まりを作っている道路へと飛び出した。 「なんで…何でいるの………」 いつも無造作に立てられている金メッシュの髪は今はもう水でその形を失っていて 「お前が電話でねぇからだろ。」 しゃがみこんでいた大きな体は街灯の光と影で私を隠して立ち上がった 「……だって……」そう呟く私の頬にレツの指先がスッと触れた