ココロは怒りと悲しみに支配されていた。

「いやっ! 翔梧!?」 

 強引に下着を剥ぎ取り嫌がり抵抗する沙耶のカラダを押さえ込む。

――沙耶、お前のカラダは俺の物だ!

「いやぁっ! やだっ! 翔梧っ。やめて!! 痛いっ」

 あんな男に奪われるくらいなら、俺が今すぐ壊して喰い尽くしてやる!

 部屋中に響きわたる悲鳴。

 乾いた性器が擦れ合うだけの強引な行為に、小さく泣き続ける声が響く。この悲鳴は、沙耶のものなのか、自分のココロの声なのか? 一体何がしたいのか何をしているのか自分でもよくわからないまま、ただ、沙耶を自分の一部にしてしまいたかった。

 空が白々と明るくなり、夜が終わった頃に、やっと、それは無駄な足掻きだと気づいた。

――誰も自分の物にすることは出来ない。