『沙耶って何考えてるかよくわかんないよな』

 翔梧に言われた言葉を反芻する。冷たい水を浴びせかけられたようだった。今まで付き合ってた他の人たちにも言われた事があるセリフ。

 最後に付き合った彼と別れてからも、出会いがまったくなかった訳じゃない。だけど、いつも一歩手前で気持ちのブレーキがかかる。警戒し過ぎて動けなくなる。
 
 私はいつも自分が一番可愛くて大切。傷つかないように。用心深く自分だけを守ってる。翔梧とこんな風に関係が続いてること自体、自分でも信じられなかった。

 でも結局、同じ。

 なにも変わってない。

 何も信じられないんだ。

 自分のココロでさえも。

 私は眠りにつくまで、
 暗闇を見つめ続けた。

 自分の中の
 ココロの闇を。