黙っている私を見て、美少女は薄く微笑んだ。怖いくらい可憐。思わず見とれる程。

「なんだ。また翔梧の悪い癖か」

……悪い癖?

 黒目がちで大きな瞳が私をはっきりと捕らえる。挑発するような上目遣い。

「翔梧、年上からもやたらモテるから、いつも年を誤魔化して遊んでるって言ってた。今回も、そうだったんだ。心配して損した。」

 カバンから可愛いピンクのラメの長財布を取り出し、伝票を見ながら小銭を出して立ち上がる。

「すぐに飽きられて捨てられるだけなんだから……。早く翔梧の前から消えて下さいね」
 
 最後に冷たく私を一瞥すると、短めのスカートをひるがえして喫茶店から出ていった。