「待った?」
笑顔のまま大きな歩幅で駆け寄ってきた。
「今来たとこ」
私も思わず微笑み返す。
鼻先にかすめる
お酒と
たばこと
香水の匂い。
「お酒飲んでる?」
「少し時間余ってたからクラブに顔出してきた」
職場のある場所から以前行ったクラブは歩いて行ける距離だった。家までは電車一本二駅。私たちは外で歩くとき手を繋いだり腕を組んだりしない。付かず離れずの距離のまま。親しい、礼儀を持った友人同士のように。何気ない日常の会話を交わしながら、電車に乗りマンションまで歩く。
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