「嘘だぁ。絶対なんかあっただろ〜?」 絡む柄本さんから逃げるように、カップルに近づき声をかける。 「気になる物があれば声かけてくださいね」 恥ずかし気に見つめ合いながら頷く二人。きっと今日彼らはペアのリングを買っていくだろう。幸せの証として。 二人からは幸せいっぱいの甘い香りがする。 柄本さんが言うことが本当なら、私からもそんな香りが漂っているのかな。幸せの残り香が。