所在無さげなその大きな手を取ってしっかりと両手で包み込む。

「うん。……信じるよ」

 そして彼のココロにしっかり届くようにはっきりと答える。

「私は翔梧を、信じる」

 そう言った私を見て、一度大きく開かれた瞳。何か言いたげな唇をぐっと閉じてから、耐えきれないように溢れる私の大好きな。あの、笑顔。

 次の瞬間、大きな胸が目の前にあった。あったかくて優しい抱擁。翔梧のひんやりとしたシャツからは熱い体温で蒸発した雨の匂いがした。