しっかりクレンジングして、簡単に化粧直しをする。

 ルーム料金の支払いを済ませて部屋を後にする。

 ベッドサイドの時計のアラームはチェックアウト時間前にセットしておいた。

 ――寝坊しなければいいけど……。

 余計な心配をしながら外へ出ると、思わず目を細めてしまう。
 朝の柔らかい光に晒されてしまうと昨日の夜からの出来事が全て嘘みたいに思えた。

 カチューシャをバックにしまう。
 今日は天気が良さそう。デート日和だ。
 私の仕事は忙しくなるだろう。

 さっきまでの夢物語を振り切る様に足早に駅へと向かう。


 ガラスの靴を脱いで

 現実の世界に帰る為に。