自分の感情は無視していた。怖かったから。

 嫉妬
 独占欲

 憎悪に近い愛情に気を抜いたら飲み込まれそうで。

 ある日春菜に

「もう別れる。バカじゃない!?」

 ビンタを食らって目が覚めた。確かにバカだ。大した快楽も、逃げ道も見つけられず悶々と過ごしていた無意味な日々。逃げようとすればするほど、増していく。

 本能から求める気持ち。沙耶に会いたい。彼女に触れたい。

――沙耶でないとダメなんだ。

 一ヶ月近くなって、ようやく理解した。