「今日は?」

「午後から出勤だよ。翔梧は? あ、学校は!?」

 今さら慌てる私を見て、

「今日から夏休み」

 翔梧が呆れたように笑う。夏休み……懐かしい響き。そんなのすっかり忘れてた。宿題とかどうしてるんだろう? 余計な心配が頭に浮かんだ。

「出勤まで時間、まだある?」

 時計を確認する。会社までは歩いて10分ほど。まだかなり余裕があった。

「うん、大丈夫だよ」

「朝食がてら、デートしよっか」

 爽やかな笑顔。デート。翔梧の口から初めて聞く言葉に、驚きながら嬉しくて心臓が跳ねる。

「じゃあ、支度するね」

 きっと今、私はすごく笑ってる。