クーラーが効いてきて、抱き締め合うカラダの熱を心地よく冷やしてくれる。窓の外の太陽はもうすっかり沈んでしまっていた。

「俺、最低だからさ……」

 呟くように翔梧が話し出す。

「自分の気持ち、見てみぬふりしてた。番号もメアドも消して。逃げてたんだ」

――逃げてた?

「私から?」

 小さく傷つきながら、尋ねる。

「違う、そうじゃなくて……自分の、沙耶への想いが、怖かったんだ」

 怖い……? 
 そうっと、上を見上げる。
 その表情は、よく見えない。

「嫉妬も、独占欲も、人を信じることも。俺にとっては全部、怖い」

 正直過ぎる呟きに、大人びた雰囲気の彼が、傷ついた小さな男の子の様に見えた。