何も答えられないでいると、様子を伺うように顔をあげる翔梧。

「年上の、エリートとか?」

「図星、か」
 自嘲するような言葉と笑い。そして、ゆっくりと立ち上がった。

「じゃあ……帰るわ」

 そのまま駅の方へ向かってしまう。

――え!?……待って! 本当に帰っていく翔梧を反射的に走り出して腕を掴む。

「しょう……」

 名前を言い終わる前に、逆に抱きすくめられて唇を奪われる。

「んふ……はぁっ」

 息することが出来ない。全てを食べ尽くすように噛みつくかれて絡めとり吸い尽くすこの熱さは、気温のせいじゃない。酸素が足りなくて朦朧とする意識。

 ずっと翔梧とまたキスしたかった。でも、こんなんじゃない。切なさと苦しさに涙がこぼれた。