手を繋いだまま、どんどん前を行く翔梧にただ黙って付いて歩いた。翔梧も知らない道のはずなのにたまに地図を確認するけど、迷ってるようには見えなかった。切符なんかも、私が慣れない行き先にもたもたしていたら翔梧が買ってしまった。
「ありがと、あっ」
 少しずつ混み合ってきた道や電車で、私が道に迷ったり、人にぶつかりそうになると手を握り直す。

「こっち」

 そう言って巧みに繋がる手を自分に引き寄せてくれる。離れても必ず待っててくれて手を繋ぎ直す。年下なのに。それを感じさせない。機転や応用のきく柔軟さ。頭の回転が早のだ。それに加えて物怖じしない、堂々とした物腰。

 守られてる。そう感じたのは初めてだった。大きな手が背中がとても頼もしく思えた。