翔梧の問いに答えるより前に電車はスピードを落とし乗り換える駅に到着した。

「私……降りなくちゃ」

 我に返ってスーツケースを手に取ろうとするとそれを遮って翔梧の手が伸びる。

「持つよ。送る」

「えっ!? ちょっ」

 戸惑う私より先にどんどん進んで行く翔梧。慌てて付いていくけど、足の長さが違う。ほとんど走って追いかける。

「沙耶、新幹線の席どこ?」 
 
「えっと……十号車のD」

 息を切らしてやっと追い付いて手にした切符を確認しながら答える私を置いて、また先に歩いて行ってしまう。