向こうには夕方につけばいいから、ゆっくり家を出たからまだ午後一時過ぎ。平日の快速は空いている。 新幹線へ乗り換えの駅まではまだ少しあった。 冷房がしっかりと効いている車内では歩いてきた汗も乾いて心地よく、書類を見るでもなく見ながら、私は少し微睡んでいたらしい。 目覚めたら目の前に人影。ぼんやり目を開くとスニーカーの足元が最初に見えた。男の人だった。 目の前に書類を差し出される。