あの夜、私はアクアマリンのペンダントをつけていた。

「僕に、ついてきてくれないか?」

――それは呼ばれた幸福なんだろうか。

 山内さんの言葉がこだまする。
 突然だった。急すぎて何も考えられない。

 不器用な私が翔梧のことをようやく過去として片付けようとしていた。今。

 それは絶妙なタイミングの言葉に違いない。

 いつまでも、遊ばれていた記憶を大切にしていた、こんな私に、山内さんは真っ直ぐ向き合おうとしてくれているんだ。

 正直ココロが揺れた……でも。

 頭の芯に残るあの、甘い記憶が、
 ふと瞬間的によみがえる。