「一人?」

 急に声をかけられて、振り返ると見たこともない男の人が二人。

「可愛いね。踊らないの?」

 軽い口調にその雰囲気にナンパ特有の強引な馴れ馴れしさを感じて口ごもる。

「照れてる?か〜わい〜」

 反応を誤解されて益々嫌悪感が増した。勝手に腰に手を回され、全身が粟立った。

「俺らの席あっちなんだ。一緒に楽しもう」

 もう一人に背中に手をそえられた。半ば強引に連れて行かれそうになった時、目の前にグラスが現れた。

「はい、コットンフラワーお待たせ」

 声は後ろから聞こえた。どうやら頭越しにグラスは現れたらしい。男の人二人が先に振り返って

「つ、連れがいたんだ」
「早く言ってよ」

 じゃあね、と逃げるように去って行く。私は訳もわからず一人立ち尽くしていた。