「バカ弟子め――」


その呟きも闇に飲み込まれ‥‥静寂が残った。


「‥‥兄貴、すまねぇ‥‥っ」


ストークは笑っていた、大剣は構えたまま、黒い妄執に対峙する。


「――とどめだ、一緒にいこう」


そう言い放つ青年の瞳に憎しみなど微塵も感じられない。


「‥‥なぁ、何でお前は、死神の兄ちゃんを殺せたのかな」


ストークが地面を蹴る。


「ホントは気づいてるんじゃないのか‥‥?」


振りかぶった大剣を一気に叩き下ろす。


「――兄貴はわざとお前に刺されたんだって」


分かってる、はずだ。


死神が、正面から心臓をひと突きされるなんて、ない。





全て―――視界が全て白い光に包まれた。


自分も、

振り下ろした大剣も、

ジェイドの姿も、

全て――‥‥


ふわふわと、光の中を漂っていた気がする。

それが少しの間だったのか、

永く遠い時だったのかは分からない。


ストークは、

ゆっくりと瞼のシャッターを持ち上げた。


緑の丘、駆け回る子供―――あれは…俺だ。

俺の先を走っていた少年が振り返り、俺に笑いかけ、手を差し出す。

人見知りな俺を一番の友と言ってくれる優しい少年。

そう、俺の手を引いてくれるのは、いつも――――