入り口に飛び込むと、その中に充満した魔力からか鎧をまとった身体はさらに重く感じた。

まだ日は昇っているはずなのに、入り口から届く日の光は弱く、数メートル離れた先にいるはずのミアの姿も見えない。


「ストークは前を、次にカノー、カロンは後ろだ」


明りは要らなかった。

鉱山の壁全てがまるで魔鉱石かのように、淡く輝いていた。

ストークの先導でしばらく道なりに進んだところで、一同がピタリと足をとめた。


…アァァ………ガァ…ァ…


獣の息遣い。


「……。この程度は予測済み…だよな、みんな?」


呻き声にも似た、荒い息遣いが徐々に近づいてくる……。


「……中心にはまだ遠い、雑魚だ。片付けるぞ!!」



ストークの声に3人が無言で頷く。

枝道を走り、存分に武器を振り回せる場所を確保する。


「―――――――来るぞ!」


無数の黒い影が弾丸の様に死神たちに向けて飛んでくる。

一つは足元から、一つは天井から、一つは左右から回り込むように。


ピシャ


正面に飛び込んできた影をカノ―が音もなく鎌で両断した。


「いやん、汚い」


真っ二つの身体でピクピクと痙攣するその影の正体は、狼のような犬型の生物。

その身体に毛は無く、筋肉の浮き出たヌメヌメとした身体を持っていた。

鋭い牙と爪、その口は腹の部分まで裂け、一咬みで頭をまるごと喰いちぎれそうな異形の形を成していた。

狭い坑道を縦横無尽に走る。


「まとまってるとこ蹴散らすわん、カロちゃんサポートお願いねぇ!」


既に大群と言える程の数になっていた。

カノ―は迷わずその中心目がけ疾駆する。