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「変貌ぶりに怖くなっちまった俺は、その夜もう一度鉱山へ忍びこんで…後をついてきてたオニキスと鉢合わせ、そこで落盤事故さ」


石が四肢を潰して大ケガを…下手をすれば死んでいたはずであった。

だけど死ななかった、なぜか。

ジェイドは一瞬何かに想いを馳せたようであった。


「死を察知した俺の身体は、…弟の、オニキスの生命力を根こそぎ吸いとってしまった…」


ギリッと噛みしめた唇から血がにじむ。


「どうしようもない兄貴さ…、弟の身体は肉片すら残さず消えてしまった…っ」


話によるとその時、身につけていた黒鉄の軽鎧は砕け散ったのだという。

――おそらくはジェイドの潜在能力が黒鉄よりも、オニキスの死神の力よりも強すぎて…。


「砕け散った黒鉄の鎧がトレディアに吸い込まれていくのが見えた、…もしかしたら弟の魂もいっしょに…」


「ふむ…岩に押し潰されて、急速な肉体の再構築は不完全だったのでしょうね、生命力は補ったものの姿が変わってしまった」


「最初は役人にも説明をしたが、岩に潰された兄をみて気が動転してると思われてな…確かにこの姿で24歳と名乗る訳にはいかない」


また髪の毛をワシワシとかきあげる、この少年の…男のクセなのかもしれない。


「そこにこの伝染病……、やっぱり関係がないようには思えなくてな」


そこでストークが口をはさんだ。


「君…じゃない、アンタは『夢』をみたことは?」


「…どういうことだい?」


病にかかる前に必ずみる『夢』…

ストークが説明をするとジェイドが答えた。


「夢…、弟が話しかけてくる夢を…よくみる」


死神4人が顔を見合わせうなずいた。


「詳しく内容を教えていただけますか?」


カロンが高めの椅子からポンと飛びおり、荷物から、布にくるまれたメモ用のペンと羊皮紙を取り出した。